「爽世様…」 「何?」 「ネクタイが曲がっています」 そう言って慣れた手つきで私の曲がったネクタイを直す。 「今日はいつもより上手に出来ていたはずよ」 「そうですね。お上手になってきていますよ」 「何よ!爽のくせに私に上から物を言うの!?」 「いえ、そのようなことはありませんよ」 爽は幼い子をなだめるようにそう言った。 「はい、できましたよ。爽世様。」 「ありがとう。爽。」