おまけ→


ある晩、望美は『衝撃的事実』を知った。


その夜、望美は少しだけ遅くまで起きていた。

すると聞えてきたのは、母の怒った声。

(お父さん。帰ってきたんだ…)

そう思って、階段下まで行ってみれば、酔っ払った父を支えている母の姿。

望美はすぐに、父の傍に寄り、母と共にその体を支える。

瞬間、鼻につくアルコール臭。

望美は咄嗟に眉を顰めた。

(お酒くさ~い!)

そう思いながらも、放って置くことは出来なので、母と二人で寝室まで運んだ。

「もう!お父さんってば、上着も脱がないで寝ちゃうんだから!」

文句を言いながらも、母は忙しそうに酔っ払いの介抱をし始めた。

先日、同じ様なことが起こったわが身としては、同情を隠しえない。

(…大変なんだよねぇ)

「お母さん、手伝おうか?」

望美が声をかければ、母ののんびりとした声。

「ん~?大丈夫よ。いつものことだから。」

コップに水を入れながら、笑って答えてくれた。

「お父さんって酔っ払うと、いつもあんなにお酒臭いの?」

「そうよ。イヤになっちゃう。」

『スーツにだって匂いがついちゃうんだから』と言いながら、母は父の元へ水を届けに行った。


そんな母の様子をのんびりと見ていて、ふと、気付いた。

酔っ払いって、そういうもんなの?

でも、先生は…

そう考えていて、望美は思いっきり、目を見開いた。

「あ―――!!!」

あの時、先生はお父さんみたく、お酒臭くなかった!

(そりゃ、キスはお酒の味がしたけど…)

ちゃんと自分で歩いてくれたし、お父さんみたく、ふらつくこともなかった。

(…まさかっ!)

『酔ってなかったんじゃ…』


思い返せば、そうだ。

人一倍、お酒の強い人だったはず。

酒宴の時にだって、みんなと飲んでいたのに、私を守れるほどだった。

そんな人が、同僚と飲んで酔っ払うって事は…

…ありえない。

「~~~先生!!!」

(騙しましたねぇ~!!!)

誰もいないリビングで、望美は拳を振るわせた。


酔っ払いと勘違いしたのは、望美。

酔っ払いを演じたのは、リズヴァーン

さあ、謝るのは、どっち?