望美は手早く髪を結い上げ、ピンで留めると、こっそりリズヴァーンを伺う。

「先生。私、なんか変でしたか?」

「何故、そのようなことを聞く?」

「さっき、水着見て、先生が不思議な顔をしたから、ちょっと気になって…。」

少し戸惑った様子の望美に、リズヴァーンは柔らかな笑みを浮かべた。

「いや。よく似合っている。」

「ホントですか?うれしい。」

好きな人に誉められ、望美の顔に満点の笑みが浮かぶ。

「…でも、さっきは何で?」

「…答えられない。」

そう言うと、リズヴァーンは、望美に背を向け、おもむろに着ていたシャツを脱ぎ始めた。

「せっ、先生?」

何を答えられないのか解らずに、望美はその姿を目で追っていたものの、素肌が見えて、ドキッとする。

多少は見慣れているとはいえ、太陽の下で見ることは、ほとんどない。

望美は目を逸らしたほうがいいのかどうか迷ったすえに、すっと視線を手元にあるペットボトルに向けた。

が、

一瞬映りこんだ『それ』に、望美は目を見張る。

そして、脱ぎ終わったリズヴァーンの背に望美はそのまま抱きついた。

「先生!脱いじゃイヤ!」

「望美?!何してんだ!」

いきなりの行動に、将臣が驚きの声をあげた。

リズヴァーンも水着姿の望美に抱きつかれたまま、動けずにいた。

でも、今の望美には二人を見る余裕など、まったくなかった。

「はっ、早く着てください!」

必死な望美の声に、リズヴァーンが息をついて、振り返ろうと体を捩る。

「どうしたというのだ。」

「だっ!駄目です!こっち向かないで。」

リズヴァーンが動くたびに、望美はその逞しい素肌をきつく抱きしめる。

そのことに気付いたのか、それとも望美の暴挙に観念したのか、リズヴァーンの動きが止まった。

「…望美、きちんと説明しなさい。」

ため息交じりで、リズヴァーンに呟かれ、望美は今の状態に気付く。

ぱっと顔を赤らめたが、体を離すわけにはいかない望美は、必死に今の状況をリズヴァーンに伝えようとする。

でも、なんて言っていいのかが分からない。

「あのっ、それは…。」

「望美、どうしたんだよ。なんかあったのか?」

将臣が、望美の後ろに回った。