「じゃあ、将臣くんがやってたことはどうなのよ!?」

「俺がやっていたのは、ただの手合わせ。お前が今やっているのは不純異性交遊。」

「不純でも、遊びでもないもん!」

「じゃあ、あいつらにもそういってやれよ?」

将臣の顔が指し示す方を見ると、野次馬たちが望美とリズヴァーンを見ているのがわかった。

そこにあるのは、さっきのような微かな恐怖心ではなく、純粋な好奇心。

さーっと血の気が引く。

(やばい!ここ学校!)

普段どおり、なんの違和感もなく抱きしめられていた望美は、慌てて体を捩ると、今度は難なくリズヴァーンの腕から逃れることに成功する。

「これで、明日は『俺の』じゃなくて、『お前』の話題で持ちきりだぜ。」

してやったりの顔をする将臣を、望美は睨みつける。

「…図ったわね?」

「ちげーよ。お前が勝手にいちゃついてんのが悪いんだろ?」

「う~~~!!!」

「残念だったな。文句があるならリズ先生に…ってあぶねぇだろ!」

将臣が言い終えるのも聞かずに、望美は思いっきり木刀を振り下ろす。

「何すんだよっ!」

「だったら、もう一度話題を切り替えるまでよ!将臣くん!覚悟!」

木刀を構えなおし、軽やかにその頭を狙っていく。

「ちょっ、ちょっと待て!俺にその気はねぇ!」

「出させるまでよっ!」

今度は怒りではなく、恥ずかしさで将臣に向かっていく望美をリズヴァーンは止めることもせず、ただ見守っていた。

カンッ
カッ!

何だかんだ言っても、そこは『還内府』と『白龍の神子』

その手合わせは迫力のあるものへとなっていく。

譲が二人の間に弓矢を飛ばすまで、誰も校庭に入ることができなかった。

怒る『白龍の神子』様は、その後、『還内府』と共に、会議室に呼び出されることとなる。



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