1年B組 教室

私は出席番号30番。
百瀬だからいつも最後の方。
で、となりは橋本拓也って人。
クラスのムードメーカーらしい。
とてもじゃないけど自分から話しかけるなんて無理無理。


「ぷはぁっ」
やっと長かった1時間が終わって机に突っ伏す私。
「彩花、まだ3時間あるよ?」
「ん、麻里?」
「そうだよ、彩花ったらどんだけ疲れてんの」
「だってぇ。話す事ないし」
話しかけれないし。
そういえば麻里のとなりって誰だっけ?
あ、柳沼誠って人か。
「ねぇ、麻里。柳沼って人と話した?」
まぁ話てないだろうけど。

「話したよ」
え?
うっそぉん。
「どっちから?」
「私から」
ええぇ!
麻里ってそんな社交的だったっけ?
「なんで?せては彩花!話せてないんでしょ~」
「うん」
はい。
全くその通りでございます。
悲しい。


それから一週間。
クラスの女子ともずいぶん仲良くなれたし、
橋本拓也とも話したよ。

「初めまして。私が皆さんと一年間一緒に授業をする秋山正和です」
どうやらこの人が数学の先生らしい。
50歳くらいの男だ。

「じじい!さっさと消えろー」
などと失礼なことを言う橋本拓也。


「では、早速授業をはじめます。」

一年数学の初めの単元は負の数。
まぁいわゆる0より下の数。