ビクッと、一瞬だけ奈津の躰が震えた。

「奈津。

奈津は、先生じゃない。

有名議員の妻でもない」

俺は奈津の耳にささやくように言った。

そう、奈津は――。

「――俺の彼女だから」

たった1人の、俺の大事な人。

「――律人…」

俺の名前を呼んだ奈津のうなじに、チュッと俺はキスをした。

「――あっ」

ビクンと、奈津の躰が俺の唇に感じたと言うように震える。

俺はもう1度、奈津のうなじにキスをした。