「周りに動かされるまま結婚して、気がつけば3年経ってたみたいなそんな感じだったの。

その間夫は活躍してて、家にいないのがいつも当たり前だった。

たまに帰ってきたと思ったら、着替えを取りにきただけで」

だんだんと、奈津の声が小さくなる。

「奈津」

もう言わなくていいから。

俺は、後ろから奈津を抱きしめた。

「律人?」

ポニーテールにして束ねていた髪をほどくと、パサッと髪が広がったのと同時に甘い香りがした。

その髪を1束すくって、そこにキスをした。