駅を出た後、奈津を連れて俺の家に行った。

1人暮らしの誰もいない我が家。

「律人、1人暮らしなの?」

奈津が聞いた。

「うん、小学生の高学年の時からね」

「ご両親は?」

俺にとって、都合の悪い質問だ。

たいていの場合、俺は笑ってごまかす。

でも、奈津の場合は正直に答えなきゃいけないと思った。

奈津の前でウソをつくのは、無理だと思ったから。

「親父は俺が3歳の時に別れて、それっきり。

母親は、10歳の時に男作って出てった」