「決して、夢で終わらせないから」

チュッと、俺は奈津の唇に触れるだけのキスをした。

「…足りないよ」

奈津が甘えた声で言ったと思ったら、強く押しつけるように唇がふさがれた。

積極的、過ぎなんだけど。

でも奈津が積極的だと、何だかかわいくて仕方がない。

強いキスは、家までの楽しみだったのになあ。

「――んっ…奈津…」

下りるまでの間、俺たちは何度もキスをしあった。

小鳥同士がついばむような触れるだけのキス。

押しつけるような力強い深いキス。

何度も繰り返した。