前だったら嫌だったはずだった。

誰がお前なんかとするかと思ってた。

でも、奈津を前にしたらそんな気は起らない。

むしろ、もっと……なんて。

「1回だけ、だからな?」

俺はそう言った後、ハットを外した。

真っ赤な顔のお姫様の顔を隠すと、彼女の唇にもう1度キスをした。

後は夜のお楽しみだ。


「うめーっ!」

ベンチに座った俺たちは奈津手作りの弁当でランチタイムを楽しんでいた。

「よかった、律人が気に入ってくれて」

奈津は紅茶をすすった。