休日と言うこともあり、電車内はよく空いていた。

「奈津」

「何?」

俺は奈津と手を繋いだ。

「ちょっ、律人!」

奈津が焦ったと言うように、俺の名前を呼んだ。

突然手をつないだ訳だから、当たり前か。

「いいじゃん、人いないんだし」

そう言った俺に、
「だ、だからって…」

奈津は恥ずかしいと言うように顔を紅くしたと思ったら、うつむいてしまった。

「なーつ、俺を見て」

顔を覗き込んだら、
「ッ…もっ、もう!」

奈津の顔は真っ赤だったけど、俺を見てくれた。