お茶のお供であるお菓子は、カネさん手作りのシフォンケーキだった。

「お仕事は大丈夫そうですか?」

カネさんが聞いた。

「はい、もうなれました」

答えた瞬間、ふと頭に藤森くんのことがよぎった。

あの日――学校に藤森くんの元カノさんがきて以来、彼は学校にきていない。

先生方曰わく、殴られた頬の腫れがまだ治っていないんだそうだ。

元カノさんに最低だとか、死んじまえとか藤森くんはいろいろとひどいことを言われていた。

「……奥様?」

カネさんの声で、私はハッと我に返った。