「それで失礼ながら藤森さんのことを調べて、あなたのお父様が沖縄で診療所をやっていると言うことを知りました」

中田さんはカバンからクリアファイルに入れてある書類を出した。

「あなたのお父様は離婚後、故郷である沖縄に戻り、診療所を開いた。

しかし、2年前にクモ膜下出血で倒れ、意識不明の重体になった」

2年前――手紙が途絶えた時期だ。

病気だったのかよ…。

何も知らず、女ができたのだろうと勝手に決めつけていた自分が恥ずかしくなった。

「そして今年の2月6日、お父様はお亡くなりになりました。

診療所は彼の年の離れた弟さんが継いで、営業しているそうです」