言いかけた俺に男が先に言った。

「えっ?」

奥様って、奈津を知ってるの?

「申し遅れました。

私、西川雅博の秘書をしております、中田と申します」

中田さんが丁寧に自己紹介をした。

「と言っても、私は西川氏の13人目の秘書ですが」

「13人目?」

聞き返すと、中田さんは悲しそうに目を伏せた。

「私以前の秘書は、みんな西川氏の手によってクビにされたのです。

奥様を解放しろと、言ったばかりに」