どんなに落ち込んでいても、腹がすくらしい。

雨の中、俺は腹の虫をなだめるためにコンビニへ向かった。

そこでカツサンドと野菜ジュースを購入すると、自宅へ戻った。

「藤森律人さんですね?」

声をかけられ振り向くと、スーツ姿の見知らぬ男が目の前にいた。

誰だ、一体。

「少し、お時間をいただいてもよろしいでしょうか?」


男に連れられるままに、俺は近所の喫茶店に入った。

「あの…」

「奥様――奈津様と一緒に逃げてください」