忘れたくない…!

その瞬間、涙が頬を伝った。

殴られた頬に、涙が染みる。

律人のことを、忘れたくない。

彼は私の全てだから。

初めて心の底から愛した人だから。

だから、忘れたくない。

律人、もう1度私を見て。

もう1度私をさわって。

もう1度私を抱いて。

「――律人…」

暗い部屋で、私は律人の名前を呼んだ。

私を愛して――。

もうあなたしか、いらないから。

 ~*~Natsu~*~END