~*~Ritsuto~*~

嫌な夢を見た。

――待って!

大きな背中が、遠ざかって行く。

――置いてかないで!

俺はその背中を一生懸命に走って追いかける。

いい子にするから。

お母さんの言うことをちゃんと聞くから。

おもちゃも何もいらないから。

だから、行かないで。

――お父さん!


目を開けた。

「――夢、か…」

俺は呟いた後、窓の外に視線を向けた。

相変わらず、雨が降っていた。