もう、あなたしかいらない。

あなたしか、抱かれたくない。

あなたしか、欲しくない。

これ以上は、何も望まないから――。


保健室のベッドのうえで、
「奈津」

律人が私の名前を呼ぶと、後ろから私を抱きしめた。

「何もされなかった?」

私の髪を指ですきながら、律人が聞いてきた。

「うん、生理だってウソついた」

私が答えると、
「いい子だ」

そうささやいて、毛先にキスをくれた。

それだけで、私の躰は震えた。