百合は勢いよくドアを開けて中へ入った。

「ここから出して!!」


「家族を返して」


何人もの女たちが怒鳴っている。


恐らく、百合たちの前にも、何人かこの場所を突き止めた人間がいたのだろう。


けれど、みんな捕まってしまった。


1人、外で自由に動き回っているのは、さっき百合が倒した女と同じ格好をしていた。


黒いコート。


目深にかぶったフード。


「何を勘違いしているの?おまえたちの家族はここにはいない。呪悪様は、人形を集めているだけ。」


「あの人に何かしたら許さないから。」


「呪悪様の邪魔をする者は排除する。」


物音に女は振り向く。


「誰だ!!お前は!?」


「良い歳してお人形遊びなんかしてる、いた〜い女から、お人形を奪いにきたの」


「呪悪様の邪魔はさせない。」


「呪悪に伝えておいて。ダサいお人形遊びはやめて、ブタバコでおとなしくしてろって。それから、雑魚ばかり集めて私に喧嘩売ろうなんて、甘すぎるってね。」


百合は、同じように女にさっと近づいて、腹に一発打ち込む。


女は倒れた。


女のポケットに入っていた鍵で、捕まっていた人間を、解放してやる。


「さぁ、ついておいで!家族を助けに行くよ。」


百合は、先陣を切って歩き出した。