朝日が昇り始める時刻に、百合は目を覚ました。


何ヶ月ぶりに、こんなに寝ただろう。


みんなまだ寝息を立てている。


ふと、隣の友人を見ると、泣いていた。


不安なのは自分だけじゃないんだ。


みんな、もう殺されたかもしれないと言う不安と戦ってる。


ここに集まった五人のうち、百合を含めて三人は、家族をやられた。


三人だけじゃない。


今捕まっている人たちには、彼らの安否を心配する人、無事を祈る人がいる。


必ずみんなを連れて帰るんだ。


百合は改めて、事の大きさを再確認する。

「私がみんなを助けるんだ。」


翔太たちがいなくなって、目立たなかった百合のお腹は、誰が見ても子供がいるとわかるくらいに、膨らんでいた。


生まれる日も近い。


百合はお腹をなでる。


答えるかのように、お腹を蹴られた感触があった。


「もう少しだけ待ってて。もうすぐ終わるから。」


百合はお腹の子に、そっと語りかけた。