この部屋に閉じこめられて、どのくらいたつのだろう。


怒鳴り声と泣き声しか聞こえないこの部屋で、翔太はとっくに限界を迎えていた。


「怖いよぉ〜。」


翔太は、ふと腕に目をやる。


腕にはおかしな数字が刻まれていた。


「100人目。100日目」


「何の数字だろうぅ〜。」


ふと一人の男が翔太の腕をのぞき込む。


「お前は100人目か」


「なんのことぉ〜?」


「ここに連れてこられた数だ。ちなみに隣の五十日目は、死ぬ日だ。」


翔太は、ここ何日かのことを思う。


毎日一人ずつ連れて行かれた。


そして、誰も戻ってこなかった。


「ここから出たいよぉ〜。」


「無理だよ。みんなあの頭のイカレた女に殺されるんだ。」


翔太は恐怖の反面で、まともに話ができる人間がいることに、安心しきっていた。


男もそれに気づいていた。


けれど、あまり良い顔はしていなかった。


「まともに話せる人間がいるのが嬉しいか?けど俺は、お前とは友達にはなれない。」


「どうして?」


「明日なんだ。」


男は腕の傷を見せた。


「10日目」


そう刻まれていた。


「カウントしてた。明日は俺の日だ。お前は助かると良いな。最後に話せてよかったよ。じゃぁな」


男はそう言い残すと、部屋の奥へ行った。

翔太は涙が止まらなかった。