女は語った。


「この部屋には10人の人間がいた。あなたは11人目よ。昨日一人亡くなったわ。彼女の息子さんも一緒にね。」


「ココは何なの?」


「わからない。一つ言えるのは、ここに連れてこられているのは親子だと言うこと。腕に文字が刻まれているでしょう。」


見れば、右腕に〔11〕左腕には、[61]と刻まれていた。


「右は連れてこられた数、左は、多分…」

女はそれきり、口を閉ざした。


誰もその先を言いたがらない。


彼らはいったい何に脅えているのだろう。

女は敷居の向こうにいる、わが子を想った。