小柄な店員は、店内で背を向けて閉店準備中。 俺には気づいてなさそうだ。 「勿忘草を売っている店なんて珍しいですね」 そう話しかければ、やはり驚いたようにその人は、振り向いて鈴の鳴くように笑った。 「ふふふ。わたしの一番好きなお花なんです」 一番好きな花を勿忘草とする人の、この世に何人いるのだろうか。 ましてや、その理由が…。 「花言葉が君の気持ちそのままだから?」 「え?」