泣いたのがわからないように顔を整え、従女とともに部屋をでると、物々しい雰囲気を携えて赤い装備に身を包んだ男たちがぞろぞろとカレンたちの前を会釈しながら通り過ぎて行った。
「なんなのでしょうか…?」
「わかりませんが、最近になってああやって城内を歩いているのをよく見かけるようになりました」
従女も訝しそうに過ぎていった行進の後ろ姿に目をやる。
「王位がジュダス様にお代わりになってしばらく、確かに世の情勢は芳しくありませんが…」
「まさか戦争など起きなければよいのですが」
その時、私の後ろに控えた従女はそんなことにもなりかねない、といった内容の言葉を飲み込んだのだろうか。
口元を押さえて目を伏せた様子に私はさらなる不安を感じずにはいられなかった。
──汚れた事実を、見せないようにしているのですね
成人は迎えても、自分はまだ婚姻さえ済んでいない子供。
その判断が正しいのかどうかは私にはわからなかったけど、ここでは何も考えないようにした。
「…行きましょう」
「はい」



