そうしようか、と思案したときに、今日はある人物と会見する予定があるのを思い出した。
──あのお方なら…良いアドバイスをくれるかもしれない
毅然として堂々としたあのお方ならば。
「アイリーン様とのお茶だけはさせて頂きます。後は申し訳ないですが、お断りして」
「畏まりました」
下がっていく従女の背中を見つめながら、ようやく今、自分の頭の中にディゼル様との結婚がどうなるか、ということしかないことに気がついた。
思わず笑みがこぼれる。
──ああ、私は今、前向きになれている
あのお方のことを考えるだけで
胸の奥に広がる温かみ
それが死という冷たい未来を覆ってくれる
私は、目じりの涙を拭き取った。



