「!!」

ディゼルの顔が一気に青ざめた。


ずっと話してたの……ユノだぁっ!!!!
あああ怖いやつに何でそんなっ、
うわぁあ! 俺終わった!!


怒りに燃えたレイモンドはユラ、と立ち上がった。
そこに後ろに控えたユノが――ディゼルは小さく悲鳴を上げた――レイモンドに何かを差し出した。

「ユノっ、てめ何してるな!」

「レイモンド殿の頼みゆえ」

平然と語るユノ。
エルヴィスの顔も青ざめる。

「お前は俺の従者だろうなっ!」

「また別問題である」

「「どこがだ!!」」


突っ込む傍ら、ユノから何かを受け取ったレイモンドはそれを取り出した。

それは、鈍く光る――包丁。

エルヴィスの脳裏を、ある言葉が過る。



『切り刻むのは、得意です』



「……マジでな?」

「当然です!」

「…少し、頭を冷やすがよかろう。主たちよ」

心無い言葉にやっぱユノって怖ぇ!! と誤解を深めるアホ毛が一人。


「やめ、落ち着け! ともかくだ、レイモンド!」

「問答無用!!」


キラン、と刃が光って


「「うぎゃぁああああ!!」」


三人の壮絶な悲鳴が轟いたという。




この日、奴らは学んだ。


――酒は呑んでも呑まれるな――