英国喜劇リコレクション


不意に、彼女の頬に手が伸ばされた。

「ひゃっ!」

びくりと肩をすくめ驚いて手の出所・エルヴィスを見上げた。

「敏感……なんだねお嬢さん」

「い、いえそんなこと…はっ!」

エルヴィスの手が頬を撫で、彼女は逃げるように身を縮める。

それでも、忘れてはいけないことがある。

「お、お代を…」

ピザをエルヴィスに押し付けるようにして必死に距離を取る。

「ああ、そうだったな。…これで?」

「毎度ありがとうございます! お釣を」

「君にあげるな」

「へ?」

ポカンと見上げ、お釣を掴んだ彼女の手をそのままストックの中に戻される。

「とっておいてな。少しだけだが、俺からの……な」

「そ、そんな!」

「んな小さなことより……これ、なんて読むのな? 俺、漢字読めないな」

示した先には彼女の名札。

漢字の名前って、読めないのな。
けど……それだけに、暴くことが、魅力的に映るんだよ、外国人にはな?

「っ、――!」

耳元で囁かれて、顔の温度が頂点に達する。