母は観念したように俯いて言った。

なんだろう。
私、聞きたくない。

しかし母はすべてを暴かれた罪人のように、か細く語り出した。


「あなたは村に出たことがないから知らないと思うけれどね。そういう治療とか、お薬を作ることだとかは、やってはいけないの」

「……え?」


セルマの眉がく、と寄った。

意味がわからない。
病気で苦しむ人々を助けるという善行を行ってはいけない?
そんな不条理、あっていいの?

「それはね、教会の、神にお仕えする聖職者さまたちのすることなのよ」