いや、まあな、仕方ないよな、アイツ人間じゃないし、今まで森の弱肉強食の中で生きてきたんだもんな、それに今日って初日だ。
そうだそうだ、俺の常識が通じなくって当たり前だ。
うん、そう! あとでアイツにはみっちり俺の恋愛講座を開いてやればいいんな、よし!!
「…さま…エルヴィス様? もう、エルヴィス様ったらぁ、どうなさったんですの?」
「えっ?」
ハッと我に返ると、一緒にダンスをしていた女が不満そうにプルンとした唇を尖らせた。
「ああ、ごめんな? 許してくれるか?」
「もうっ! ちゃんと私を見ててね?」
わかったよ、と甘い声で返事をしながらエルヴィスはまた新しい従者がポワンと浮かんできた。
人じゃないとはいえ、常識がなってなさ過ぎる。
曲が終わって名残惜しそうな女に手を振り、次は誰がいいかなと思案をめぐらせる。
華の第二王子は忙しいのだ。
そういえば、それこそアイツはどこに行ったな?
ぐるりと見ても、見当たらない。
場の空気に慣れていないユノは、違和感バリバリで見つけやすいはずなのだが──いない。
ま、いいか
そこへ、別の女がやってきて、小首をかしげてスカートをちょん、と上げた。
「エルヴィス様、私と一曲お相手願えますか?」
「おや、これは失礼しました。本来、俺のほうから誘うべきなのにな」
「いいえ、王子自ら誘っていただくなんておこがましいですわ」
繕った笑顔に、さっと嫌味がさすのを感じた。
王子、王子って…俺はそんなもんに縛られるつもりはないんけどな。
残念
エスヴィスはクスリと笑った。
女にとってはそれすらも酔わせる要素でしかない。
それが嘲りを交えていようとも。
“王子”との結婚目当てなら、バイバイ



