英国喜劇リコレクション


“――神の名に惑わされるとは。神など人を既に越えたもの。人がどう足掻けど、何もなりはしない”

また高圧的に卑下する。
だんだんとこの声に腹が立ってきた。


「私達が何をしたの? 人を導くのが、神ではないの?」

ふざけないで。
どいつもこいつも人の気も知らないで勝手にあれこれ。

「私達は困っている人を助けただけよ…それさえ赦さないというのなら私は……神なんて信じない!!」

“――ほう、神を捨てるか”

「いくらでも捨てるわよ!」

もう何でも構わなかった。
何をしようとこの憎しみは消えはしない。
そんなセルマに掛けられた声は、意外なものだった。

“――ならば我が魔性を分けてやろう。人間一人が神の意思に逆らう力くらい、安いものだ”