土に埋もれかけたそれを拾い上げると、なんと銀色に輝く……クロス。 それを見つめるセルマの目は徐々に開かれていく。 十字架は紛れもなく教会の証。 奴ら、ここに来たんだ!! だったら―― 「!!」 セルマは最悪の想像に青ざめた。 お母さんたちが危ない!! そしてまた来た道を走って戻り始めた。 息が切れ、足と肺が悲鳴を上げている。 それでも止まれない。 止まっちゃいけない。 村が見えてくる。 大して時間が経っている訳ではないのに、やけにひっそりとしている。