そんな恥ずかしい目は御免被りたい。 そう――だから、大丈夫。 何度言い聞かせても払拭されない思いを胸に、セルマは家路を急いだ。 木々の間に、家が見えた。 その途端セルマは弾けるように走り出した。 どういうこと? 家に明かりがついていない。 この時間、必ずいるはずなのに。 ドアの取っ手を掴み、音を立てて開いた。 「お父さん!? お母さん!?」 家は――もぬけの殻だった。