村へ出ることを許されて数年。 セルマも成人を迎えて少しばかりが経っていた。 両親以外の人間というのが物珍しく、他人と関わることが好きだった。 薬草の売り子を任されて、村の人々と話して帰る。 それがもうどうしようもなく楽しみで。 人見知りなんて、職業柄、教会の人間が苦手なくらい。 この日も、同年代の子と大いにおしゃべりをしつくしてから帰路に立った。 森に入ってしばらく、なんだが普段と空気が違うことに気付いた。