息を吐き出してみると、止まらない嗚咽。 「ふっ……く…ごめん、な、さい……ごめんなさい、お母さん……」 出てくるのは、謝罪の言葉ばかり。 知らなかった。 母が所業に関してそんなに複雑に思っていたなんて。 そうだ。私なんかよりも助けられないで悩んでたのは母の方なのに。 心無いことを言ってしまった。 しばらくそうしていると、誰かが背後数メートルに立った。 いや、誰かではない――父だ。 「セルマ」 父はそっとセルマに近づいて、彼女の隣に座った。