え…
呆けた顔で母に視線を戻すと、肩で大きく荒い息を吐いて、セルマの頬へ動いた右手を見つめていた。
「何で…?」
わからない。何があったの?
「何でそういうこと言うの?」
わからないよ
「私達がやっていることは、罪に値するのよ? 見つかったら、あなたまで殺されてしまうかもしれないのよ?」
ぞくり。
突然の告白に肌が粟立つ。
母は、涙ながらに顔をセルマを見つめて叫んだ。
「私がやっているからといって、それをあなたに教えた覚えはないわ!!」
その時、初めて知った。
母の夜の診療は教会から隠れていた訳じゃない。
私から、隠れていたんだ――。



