「お、オホン! とにかく大丈夫よ。ディゼル坊ちゃんはちょっとジュダスが気にかけてるところもあるから、甘ったれに見えるかもしれないけどね。ちゃんと強い男よ」
「はい…」
「それに!」
少し強くなった語気。私は俯きかけた顔を上げる。
アイリーン様は、きっと私を見つめて言った。
「カレン? これから、貴女がディゼル王子を支えていくんでしょう? それが期間が短くても、長くても!」
「!」
そう、だ…私は…
「そんな貴女がディゼルを疑ってどうするの? ただの政略結婚じゃない。政略だとしても貴女は彼が好きなんでしょう?」
言葉が、胸に刺さる。
一番ディゼル様を信用していなかったのは、私なのかもしれない。
そう思うと、収まったはずの涙が、次から次へとまたあふれ出した。
「アイリーン様…! 私、私は…!」
「気に病むことはないわ。何も、何一つね。ごまかす必要も、嘘をつく必要もないわ。貴女が思うことを、しっかり伝えなさい」
「はい…! ありがとう、ございます…」
不意にアイリーン様は席を立ち、私のことを優しく包んでくれた。



