=== side 彼氏 ===








自分の席で静かに単行本に視線を落としている俺。


遠くの方で知らないオンナ共が

『きゃぁ。王子様が読書してる。』
『耽美なお姿~。』

とヒソヒソやっているのが耳触り。


単行本に視線は落としているケド、その視線はさっきからまるで進んでいない。




俺は携帯を取り出し、画面を見てハァっと溜息を吐いた。





「よぉ、なぁに溜息なんかついちゃってんの!王子様っ。」




どかんと後ろからぶつかってきた小吉に、思いっきり眉を顰める。




「・・・寄るな。オマエに近づかれると運が逃げる気がしてくる。」


「えぇっ!?なにそれっ。それはつまり俺が小吉だからってコト!?ひでぇっ」




・・・・マジでウルサイ小吉。


おみくじ箱の中に詰め戻してやるぞ?