たった1つのラブレター


まゆside

陸上部か…。
誘われちゃったな…
どうしよう
断ろうかな… 見学だけでも行こうかな…。
松田君、もしかして私に気使ってくれてたんじゃ…
何か、悪いな…


「いってきます。」
「いってらっしゃい。」
いつもにも、増して笑顔で送り出してくれるお母さん。

その後ろで、
「お母さん、お母さん!!遅行するよ-」
慌てながら、階段を降りてくるさやか。
「何度も、起こしたでしょ-。」

「あッ、お姉ちゃん!
おはよう!! いってらっしゃい」

「さやか、遅刻しないようにね。
いってきます。」

「はーい!」

みんな私に気を使ってくれてる。
私が一人にならないように、いつもそばにいてくれる。
支えてくれる。

私も強くならなきゃね。

いつもの空だけど、今日はなぜかいつもと空が違ってみえた。
今日は、雲1つない快晴だ。

「きれい。」

なぜか、今日は心が軽い。
なぜだろう。
松田君が、話しかけてくれたからかな?
家族以外の誰かと話すなんて久しぶりだったから…。
しかも、相手が男の子なんて…。

そんな事を考えていると、学校に着いた。
下駄箱で、靴を履き替えていると
後ろで、ひそひそ聞こえた。
「この子が優人の?」
「何、ちょっと可愛いだけじゃん。」
「性格悪そう…。」

また、言われてる。
やっぱ、やだな。
こんなの、陸上部になんか入ったら何されるか分からないし…。