たった1つのラブレター

「俺さ、佐倉の事…
いや、まゆの事好きだよ!」

夏休みの夏期講習会で、言われた。

好き。 
私も好きだよ。
ヒロトが大好き。 友達としてではない。
恋愛として…。

ヒロトが大好きなんだよ。

でもね、ヒロト…。
何で、隠し事なんかしてたの?
相談、してくれたら
私も何かできたのに…。

ヒロト…。
どうして私をおいてったのかな?

ちがう…。
ヒロトが私をおいてったんじゃない。

私が、ヒロトをつきはなしたんだ。



あれは、ヒロトとの交際もうまく行き
5ヶ月ぐらいたった頃だったかな…。
ヒロトが…。
キスしてたんだ…。

それも、ヒロトから。
私は一瞬、目を疑った。
本当にヒロトなのかと思った。

でも、私の目はまちがってなんかいない。
ヒロトだ…。

校門の前のいつもの私との待ち合わせ場所。

何で、そこに…。
違う、女の子がいるの?

ヒロト、私じゃたりなくなった?
私、嫌われるような何かしたかな?

女の子は、ヒロトに手を振って帰っていった。

そして、ヒロトが私の存在に気づいた。
いつもどうりの優しい目…

「まゆ・・・」

何…?
さっき、ちがう女の子といたのに。
何もなかったような顔して。

「ヒロト・・・」
私の目からは涙があふれていた。
悲しいからなんかじゃない。
悔しいんだ。

「まゆ、見てたの・・・?」

「ヒロトなんて、大嫌い!!」

「違う!
まゆ。それには深いわけがある!」

「何か、理由があったら他の女の子とキスしたりするの…?」

「ち、ちが…」

「もう、いい!
なんなの! もう、ヒロトなんて知らない!」

好きだよ。
その言葉は、もう違う人専用の言葉になっちゃたんだね…。

私は、嫌だよ。
ヒロト…。

「まゆッ!」
ヒロトは追いかけてこなかった。
何で…。
何で、追いかけてこないの…?
意味わかんない。

「俺はッ…。」