たった1つのラブレター

優人side

どうしよう…。
俺のせいだ。 俺が勝手に決めた勝負で
佐倉さんがけがする事になるなんて…。

ぶつかった、相手の名前は「松本 拓弥」
ラグビー部のキャプテンか。
しっかりしてそうだなぁ…。

優人は拓弥と一緒に病院の待合室にいた。
もちろん、無言。
まず、クラスが違うし喋った事もない相手と
2人きりなんて、空気がやばい。

長い沈黙が続いた後、先に向こうが口を開いた。

「ごめん、俺の不注意で彼女傷つけちゃって。」

彼女じゃないと言えば、なぜこんな所にいると聞かれるだろう。
「あぁ、いいんだよ。
俺にも責任がある。」

「あぁ、そうか…。
やっぱり、そうか。 付き合ってるんだ?
その… 佐倉と。」

なに、何でそんな事聞く?
お前には、関係ない事だろ。

あぁ。それが何。
と言ってやりたかった。
しかし、拓弥の顔はすごく悲しそうに見えた。

もしかして、こいつ…。

「俺さ、
佐倉の事、好きなんだ。」

やっぱり?
分かりやすいなこいつ。

俺は、佐倉とは何の関係でもない。
恋人でもない。
恋愛感情なんてあるわけ…。

ないはず…。

「いいんじゃねえの。」

ばか、俺何言ってんだ?
さっき彼女とか言っちゃたのに…。

「いいのか?」
「別に…。」

何で、俺こんなに焦ってんだ?
どうでもいいだろ。
他人の恋愛なんて…。
まず、恋愛自体興味なんかねえんだ…。

そのはずなんだ。
なのに、どうして…。

こんなに、胸が痛むんだろう…。