たった1つのラブレター

まゆside

心配、しないで。
松田君。
きっと勝ってみせるから。
大丈夫。
そう、簡単には負けない。
だって、松田君言ったもんね。
信じてって。
信じるよ。
絶対に勝てるって。

100m 競技開始

「いちについて・・・」
私は、松田君とアイコンタクトをした。

-信じてる-

「よ-い」
パンッ!!

雷管の音が鳴り一斉にスタートする。
隣には、神埼さんがいる。

神埼さんは、スパイクを使っている分速い。

「ゴール!!」
松田君の嬉しそうな声。

ふと気づくとすでにゴールしていた。
何位だったんだろう。

すると、松田君は私の前まで来ていった。

「だから。言ったろ? 信じてるって!」
「1位 佐倉 13秒93
 2位 神埼 14秒52
 3位 野村・・・」

「本当?!」
「当たり前じゃん!」

良かった…。
でも、まだ安心するのには早い…。
1000mも残ってる。

神埼さんの方をみると、
足首を痛めてるようだった。

「神埼さ…」
私が近づこうとするのを、松田君は止めた。

すると、松田君は神埼さんに向かって言った。
「お前、それでも陸上部か?
いつもみたいにすぐに、足痛いとか演技見せあがって。
えらい自信満々に言ってたけど、その自信は今どこいった?
だから、言ったんだよ。
お前じゃ勝てない。」