たった1つのラブレター

―大丈夫だよ-
一瞬、ヒロトが重なってみえた。

大丈夫-私は、その言葉にほっとした。
なぜか、松田君のためならって。
勝負を、受ける気になった。

「私…」

「うん?
何? どうしたの?」

「何でもないです。
勝負、絶対に勝ちます…。」


「うん、信じてるよ。」

-信じてる-

何かを始める。
今なら出来るかもしれない。
自分がやりたいこと。

見つかるかも、知れない。
自分の得意な事。




-放課後-
私は、グランドに出て
大切な事を思いだした…。


体操服、今日は体育なかったから持ってきてない…。
最悪だ…。

制服で、なんか走れないよ…。
困っていると、松田君が服を持ってやってきた。

「これ!!」
「え…?」

裏には、松田って書いてある…。
「佐倉さんの事だから、
毎日、持って帰って洗濯すると思って。
しかも、今日は体育ない日だから多分体操服
持ってきてないんだろうな。
って思ってさ!」

そんな事、分かるんだ。
いや、松田君だからこそ分かったんだ。
すごいな。
だから、女子から人気があるんだ。
気づかいがいいから。
人が困っているとすぐに助けたくなる。
彼は、そんな性格なんだ。