白猫チロと私の願い。【短編】

母親と一緒に遊びに行った公園。

母親が誰かと話をしている側で私が砂場で遊んでいると奥から、

ミャー
ミャー

と振り絞る泣き声が聞こえてきた。

私は泣き声のする方へヨチヨチ近づくと茂みの奥に小さな小さな猫の姿が見えた。

私が更に近づくと、猫は泣くのをやめて不安げな顔をしてジッと私の顔を見た。

「チロネコ。」
「チロネコ。」

私はその場にしゃがんで猫を呼んだ。

「チロネコ。」
「チロネコ。」

私とチロは目を合わせたまま、お互いしばらく動かなかった。

おいで。
おいで。

怖がらないでこっちにおいでよ。


ニャア~。
ニャア~。


お互いの発する言葉は違っていたけど、気持ちはつながったんだと思う。

しばらくすると、チロは小さな足で私の方へヨチヨチ歩み寄って来た。

「チロネコ。チロネコ。一緒におうちに帰ろう。」

私もヨチヨチ歩き出してチロの元へ辿り着くと、小さなチロを抱きあげた。


チロの白い体は薄汚れてしまっていたけれど、とても柔らかく、大きな瞳はとても綺麗で澄んでいた。