「どうした?」



郁弥は後ろを振り返り、私の視線の先を辿った。



「藤ヶ谷社長?」



藤ヶ谷社長の座るテーブルは4人。


隣の奥様らしき年配の女性が藤ヶ谷社長に何やらコソコソ囁く。


私たちは慌てて、視線を逸した。



「おい!?珠希お前…藤ヶ谷社長がこっちに向かってるぞ!!」



互いに藤ヶ谷社長とは何の面識もない。



桐生社長が郁弥と若い時…瓜二つだと言うから、興味本位で見つめてしまっただけ。



「君たちは?」



「え、あ…」