「・・・お前から得るコトは何もないらしい」



越塚も椅子を立った。




「待てよ!」


俺は越塚の上着の襟を掴んだ。



「最後に言えよ!珠希の何なんだ?」



「お前に言う必要ないと言ったはずだ!」



越塚は俺の手を乱暴に振り払った。


俺が越塚に殴りかかった刹那、素早く拳を受け止めて、逆にヤツに手を掴まれて、壁に顔を押し付けられた、



「力で俺に勝とうなんて、無理だ。俺は空手に有段者だ。逆に怪我をするぞ」



越塚は背中に回し、拘束した俺の両腕を強く捻り上げた。



「くっ…」


痛みで口惜しい苦悶の声が漏れる。