かって二人で暮らした漁港の街の山手の墓地に母は眠っていた。



嫌な思い出しかない街。



昔は漁港の街として栄えた街だけど。

今は不漁で、街は廃れていた。


街のメイン通りの商店街はシャッターの下ろした店ばかり。



海から吹き込む潮風が冷たく、頬を掠めていく。



俺は母の眠る墓地に向かって、山手に歩いていった。



海から少し離れると田園地帯が広がる長閑な場所。