* * *


「気づいたか?珠希」



瞳を開いたら、兄と父親が私のそばにいた。


「…佐久間とは電話しても繋がらない…多分、あいつ…ケータイの電源を切っている思う…」



「大丈夫か?珠希…航の連絡で急いで駆けつけた…」



「お父さん…ありがとう~」



「珠希…お前…子供がいるんだよ。妊娠で気分を悪くして、倒れたようだ」



兄の言葉で私は初めて、知った…


ーーーー自身の妊娠を…



私のお腹の中に郁弥の赤ちゃんがいる…



奇しくも、離婚届けを突きつけられた日に…妊娠が分かるなんて…


本当に身勝手な男だ…私と赤ちゃんを置いて出て行くなんて…