「癒亜さん、今回の検査結果なんですが…」
検査結果という言葉に私は反応する。
「どうせ、結果が思わしくなかったんですよね?」
雛守さんは私の言葉に返事を示さない。
返事がないってことは当たりか……。
あとどれくらい生きれる? って訊きたいけど、何かが壊れそうで怖い。
死への恐怖? ううん、違う。
じゃあ残されたものへの心配?
それも違う。
もっと何かが……根本的な何かが壊れてしまう。
前言での二つもあるんだけれど――。
「すみません……。力不足で」
申し訳なさそうな顔しながら雛守さんは腰を低くし頭を下げた。
私は慌てて、
「ううん、雛守さんのせいじゃないよ!! 謝らないで!」
謝られる理由はない。逆に感謝をしなければいけないのはこっちなのだから。
「ですが……」
「謝らないで?」
わたしは雛守さんにそっと優しく微笑みを向けた。
私は小窓の方へと歩き、窓の外から見える景色を見る。
窓の外から見える景色はあまりにも広大で空は青く眩しかった。
普段、慧君と歩いている道や買い物をする場所――世界とは違って、ここは完全なる別空間。
別次元とも言えよう。
マスターが屈指して作った空間であるここは外壁は一切遮断している。
何者も入ることは許されない。許されたもの――メンバーしかここへの出入りは許されてないのだ。
ここの作りがどうなっているのかは分からないけど知っているのはほんの上層部の人間だけだ。
私は上層部の人間ではない。
人間――ともいうのも怪しいかな。
そう思っている自分に軽く失笑した。
「生きているだけでも感謝してるの。本来なら死んでいる筈なのにね」
「……癒亜さん」


