雫-シズク-

僕は知らない部屋に来たみたいにおどおど入って、小さな声であいさつした。


「……よろしくお願いします」


ちょっとだけ僕を見た葵さんが、なんにも言わないでぷいっと目をそらしてしまう。


怖そうな人……。嫌だな……。


そしてすぐに桜井さんが行ってしまって、ぼうっと立っている僕に葵さんが言った。


「お前さ、俺のベット使ってただろ?」


「え……?」


「このベット、俺が下だから。あとはそのままでいい」


「……はい」


そう言って、葵さんは今日の朝まで僕が寝ていたベットにねっころがってしまった。


どうしたらいいかわからない僕は、そのまんまずっと部屋のすみっこに座っていた。