雫-シズク-

俺の視線は泣きながらなにも言わずに聞いているおばさんとテーブルをなんとなく行ったり来たりしている。


葵さん以外の人とこんなにたくさん話したことがなくて落ち着かなかったからだ。


「それから俺がもし彼の立場だったらって想像してみました。もし俺が死んで彼にあとを追われたらって考えると、すごく辛くて悲しかった。それなら俺の分も生きてちゃんと幸せになってもらいたいって気持ちになりました。
……多分、彼も俺にそうして欲しいんじゃないかって今は思うんです」


俺の勝手な想像の話なのに、おばさんはうんうんと頷いてくれた。


自分の考え方に自信なんかほとんどなかったから、そんなおばさんの様子に心強さを感じる。


「でもそう思ったら、今度はだんだん親のことを考えるようになりました。ずっと捨てられたと思っていっぱい憎んできたけど、彼のおかげで少し気持ちが楽になれて。それからどうして自殺したのか本当のことが知りたくなって。
……だから今日ここに来たんです」


こんなことを一気に話して、おばさんに自分の気持ちがちゃんと通じたかが不安だった。